人時生産性(にんじせいさんせい)って何?

働き方改革 / 生産性向上


人時生産性(にんじせいさんせい)って何?

 

日本は労働生産性の低さが課題

日本の労働生産性の低さについて、一度は耳にされたことがある方が多いのではないでしょうか。

2015年のデータによると、日本の労働生産性はOECD(経済協力開発機構)加盟国35カ国の中で22位、そして主要先進7か国の中では最下位という残念な結果になっています。(ちなみに、2015年の1位はルクセンブルク)この労働生産性とは、その国のGDPを労働者の総労働時間で割った数字ですが、日本は近年急にこの数値と順位が下がったわけではなく、ここ30年くらい20位近辺を行ったり来たりしている状況です。また、総労働時間については、近年低下傾向に見えるグラフが多く出ていますが、これは労働者に占めるパートタイマーなどの割合が増えたことが主な要因であり、まだまだ長時間労働の実態は続いているわけです。今後の労働力人口の減少を考えると、生産性の高い働き方へのシフトは必須であり、やはり働き方改革待ったなしを実感させられますね。

▼労働生産性の国際比較 2016年版

https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/R66attached2.pdf

 

今回ご紹介する人時生産性については、前述した労働生産性の算出式とは若干異なりますが、考え方のベースは同じです。いずれも投入した労働量(インプット)に対して、どれくらいのOUTPUTが得られたか、を表しています。人時生産性という言葉はあまり聞きなれない言葉かも知れませんが、「にんじせいさんせい」と読みます。働き方改革を考える上では外せないキーワードですので、その考え方についてこれから見ていきましょう。

 

 人時生産性とは?

人時生産性を考える前に、まずは「人時売上高」について考えてみましょう。人時売上高とは、従業員一人の時間当たりの売上高を意味しており、【売上高÷総労働時間】という計算式によって導き出すことができます。つまり、1人の従業員が1時間にいくら売り上げたかを表す指標です。当然、この数値が高ければ高いほど一人当たりの売上高が高いということになりますので、数値は高いほど良いことになります。

 

では、「人時生産性」は何かというと、人時生産性とは、従業員一人の時間当たりの生産性を意味しており、【粗利高÷総労働時間】という計算式によって導き出すことができます。つまり、1人の従業員が1時間にどれだけの粗利を稼いだかを表す指標です。この数値についても当然高いほど良く、生産性・効率の高い企業(事業所・店舗)であるということが言えます。

 

人時生産性の具体例

例えば、A店・B店いずれの店舗でも10人の従業員が働いているとして比較してみましょう。

A店は売上高100万円、粗利高70万円、その売り上げに対して10人の従業員が10時間稼働しました。一方でB店では売上高200万円、粗利高100万円、10人の従業員が40時間稼働したとします。

売上高と粗利高だけを見ると、一見B店の方が優れているように見えるかも知れません。しかし、生産性や効率性はどうでしょうか。

人時生産性を計算してみると、

A店は、70万円÷100(10人×10時間)=7,000円

B店は、100万円÷400(10人×40時間)=2,500円

となり、A店の方がB店よりも人時生産性が高く、より効率的で生産性の高いことが分かります。

 

仮に粗利高が急増したとしても、それに伴って労働時間が急増していれば人時生産性は横ばいで、逆に、仮に粗利高が減少したとしても労働時間の削減がそれを上回るほどに実現できていれば人時生産性は上がる、ということになります。

 

 

人時生産性を向上させるには?

では人時生産性を向上させるにはどうしたらよいのでしょうか。

ひとつには、分子を増やすこと。つまり小売店であればできるだけ値段が高く、その上利益率も高い商品を重点的に取り扱う、ということが考えられます。しかしながら、顧客のニーズや流行などを考えると、これだけを人時生産性向上の施策とするのはなかなか難しいように思います。

そう考えると、やはり分母を減らす、つまり労働時間を減らす施策に取り組むことが有効だと言えます。

今の仕事にムダはありませんか?

単純に労働時間を減らすことだけを目標にすると、本来やるべき仕事がおざなりになったり、従業員のモチベーション低下を招きかねません。ただ労働時間を減らすのではなく、仕事のムダを減らすのです。

・その会議、部長と課長、両名が出席する必要ありますか?

・社内向け資料に凝ったアニメーションを利用する必要がありますか?

・属人化のせいで業務が止まることがありませんか?

・営業なのに見積作成に時間をかけすぎていませんか?

などなど、日常業務を少し想像しただけで、どんどんムダかも知れない仕事が出てきます。

ムダを減らすためには、何にどれくらい時間がかかっているのか、まずは現状把握と分析から始めることが重要です。現状把握をすることで、ただムダ時間を減らすだけでなく、業務が見える化されるので業務の属人化排除の第一歩にもなります。

人時生産性を上げるためには、勤怠管理の見直しは必須

今回のブログで取り上げたとおり、人時生産性を上げるためには、さまざまな取り組みが必要です。また、生産性を上げるためには、各社員が発揮しているパフォーマンスを把握する必要があります。人時生産性向上の取り組みのスタートとして、勤怠管理の見直しに取り組んでみてはいかがでしょうか?

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