勤怠管理システムで行うシフト管理

勤怠管理 / シフト管理


勤怠管理とシフト管理の双方ができるシステムが存在することをご存知でしょうか。
小売・飲食店や工場など、シフト制を採用する企業は多い一方で、シフト作成には多くの手間と時間がかかります。
また、人事や労務の観点からみれば、シフト作成は勤怠管理や給与計算などと密接な関係があり、連携できれば得られる業務改善効果は少なくありません。
本記事では、システムを利用する場合・しない場合におけるシフト作成の流れや、システムを利用するメリット・デメリット、導入システムを選定するポイントについて解説します。
勤怠管理やシフト作成・管理業務を効率化したい方は、ぜひ参考にしてください。

シフト制のメリットとデメリット

シフト制を導入している企業は少なくありませんが、一言でシフト制といっても形態はさまざまです。
例えば、早番と遅番の2つに分かれているところもあれば、1日の勤務時間を3~4人で交代しながら働く交代制を採用しているところもあります。
ここからは、シフト制のメリットとデメリットについて詳しく解説します。

シフト制のメリット

シフト制は、営業・稼動時間が長い仕事や忙しい時期・時間・曜日を考慮する必要がある仕事にとても有効です。
24時間など長時間営業している店舗や工場、アルバイトを多数抱える企業で利用されています。
シフト制を採用すれば、必要な時期・時間に人員を用意できます。
閑散時期・時間に不要な人件費を抑え、長時間労働・残業代の発生も抑制できるでしょう。

シフト制のデメリット

メリットがある一方で、シフト作成に多くの負荷がかかるデメリットが存在します。
シフト制の場合、スタッフの休み希望が重なったり、急病などによる欠員が生じ早急に補充要員が必要だったりします。
上手に調整しなければ、人員不足で出勤者の負担は大きくなるでしょう。
また、多数のアルバイトを抱える企業は、シフト作成に必要な時間と手間が少なくありません。
アルバイト側にとってシフト制は、自分のスケジュールに合わせて出勤や休みが取りやすいメリットがあります。
しかし、シフト作成者側からすれば、休みの希望や各アルバイトのプライベートをあらかじめ把握・想定し予定を立てる必要があり、簡単ではありません。

従来型のシフト管理方法

企業によりシフト作成・管理の方法はさまざまですが、システムを利用しない場合の一般的な手順は以下の通りです。

  1. 各スタッフが定められた日までに、勤務の希望日もしくは出勤できない日をシフト管理者に伝える
  2. シフト管理者は、日々の予定に応じて必要な人員の数や時間を算出し、その上で勤務する人員数や誰が担当するかなどを決定する
  3. 全てを決定した後に、シフト表を作成し配布や掲示などで、スタッフに周知する

上記以外にも人員不足などが出た場合、スタッフに追加のシフトを依頼したり、他店からの応援を手配したりするなどの人員確保が必要です。
また、労働意欲の高いスタッフがいても、労働基準法などの規定で働きたいだけシフトに入れられるわけではありません。
適切な労働時間や休日の管理が必要です。
さらに、シフト希望を集めるのに時間と手間がかかり、人手不足に気づくのも遅くなります。
入力間違いで、決定した後に変更が必要となるケースも少なくありません。

システムでシフト管理を行う際の流れ

システムを利用した場合の一般的な流れは以下の通りです。

  1. 各スタッフは自分の希望をインターネットを通じて提出する
  2. システムからの提案を参考に、シフト管理者は日々の予定に応じて必要な人員の数や時間を算出し、その上で勤務する人員数や誰が担当するかなどを決定する
  3. 各スタッフは自身のパソコンやスマートフォン、タブレットでシフトを確認する

メールでの提出を行っている企業も多くありますが、専用のシステムを利用すれば集計も自動化され、手間がかかりません。
また、必要な人員を事前に設定すれば、人員に過不足があった場合、すぐに管理者が分かるように知らせてくれる機能が実装されたものもあります。
さらに、各スタッフは自分でスケジュールを確認できるため、シフト表の配布も不要です。

勤怠・シフト管理の双方を行えるシステムを利用するメリット

勤怠・シフト管理の双方を行えるシステムを利用する主なメリットは以下の通りです。

  • 業務効率化につながる
  • 情報を一元化できる
  • ミスの抑制やリスク管理につながる
  • 人件費の抑制につながる

ここからは、上記それぞれのメリットについて詳しく解説します。

業務効率化につながる

シフトの作成をシステムを利用せず行う場合、シフト希望の回収から集計と調整・決定、周知まで多くの手間がかかります。
多数のスタッフが在籍する企業や、キッチン・ホール担当など複数の役割がある職場は、より多くの業務負担がかかります。
システムを利用すれば、希望シフトの申請から作成・周知まで、全てクラウド上で作業・管理可能で、手間を軽減できるでしょう。
シフト作成は管理職などが担当するケースが多く、管理職の手間を減らし、重要な業務への時間をさけるようになります。

情報を一元化できる

情報を一元化できるのも、勤怠・シフト管理の双方が可能なシステムを利用するメリットの一つです。
従業員のデータや勤務スケジュールを一元化でき、情報の不足による混乱やミスを避けられるでしょう。
勤務時間や日数、休暇希望などをシフト作成する際に参照できるため、適切なシフト作成や人員配置、総合的な労務管理が可能です。

ミスの抑制やリスク管理につながる

ミスの抑制やリスク管理につながる点も嬉しいポイントです。
システムを利用すれば、スタッフの出勤・退勤時間を正確に記録でき、入力ミスや漏れを防止できます。
同じシステムで勤怠・シフト管理ができれば、転記の際に生じるミスも抑制可能です。
また、法改正に対応するシステムを利用すれば、コンプライアンス面の強化もできます。
シフトを作成する管理職などは多くの業務を抱えており、法改正の情報を収集できていなかったり、失念したりするリスクがあります。
万が一、労働基準法などに違反した場合、罰金の発生や企業の信用・ブランド価値の毀損で経営に影響を与えかねません。
システムの活用で、コンプライアンスを強化した適切なシフト作成・勤怠管理の実現が期待できます。

人件費の抑制につながる

システムによっては、工数分析を行える機能が実装されており、人件費の抑制も可能です。
日次あるいは週次・月次の労働時間や人件費の概算が分析・把握できるシステムも存在します。
また、過去の売上情報と組み合わせ、効率の良いシフトを例示してくれるケースもあり、適正な人員数・配置で、無駄な人件費を抑制できるでしょう。
また、職場の生産性分析もできれば、向上に向けた施策を考える際にも活用可能です。

勤怠・シフト管理の双方を行えるシステムを利用するデメリット

メリットがある一方で、デメリットも存在します。
勤怠・シフト管理の双方を行えるシステムを利用する主なデメリットは、導入・ランニングコストの発生です。
一般的にシステムは多機能になるほど、コストが高くなる傾向があります。
勤怠管理とシステム管理を行うためには、多くの機能が必要になるため、その分コストが増加する可能性があるでしょう。
また、複数のシステムが存在し、導入の検討には手間がかかります。
自社に合うシステムを導入しなければ、期待する成果を得られない可能性もあります。

利用するシステムを選定する際のポイント

複数のシステムがあり、自社に合うものの選定が重要です。
ここからは、利用するシステムを選定する際の以下ポイントについて詳しく解説します。

  • 勤怠管理とシフト管理どちらを重視するか検討する
  • 自社に必要な機能を明確にする
  • お試しを利用する

勤怠管理とシフト管理どちらを重視するか検討する

勤怠・シフト管理の一元化には多くのメリットがあります。
ただ、勤怠管理にカレンダーのシフト管理機能がついているだけのものや、シフト管理に勤怠管理機能がオマケでついているだけのシステムも存在します。
バランスの良いものを選択するか、勤怠管理・シフト管理のどちらを重視するか、まず明確にすると良いでしょう。

自社に必要な機能を明確にする

勤怠管理やシフト管理の方法は、業種や業態、企業によりさまざまで、必要な機能も異なります。
必要な機能がなければ期待する効果を得られない一方で、オーバースペックの場合、無駄なコストの発生につながるでしょう。
機能を検討する際は以下の3パターンで棚卸し、検討するのがおすすめです。

  • 必ず必要な機能
  • あると便利な機能
  • 不要な機能

また、他システムとの連携を確認するのも重要です。
勤怠やシフト管理は、給与計算・労務管理との密接な関わりがあります。
例えば、給与計算システムと連携できれば自動で報酬を計算してくれます。
自社で利用しているシステムとの連携も視野に入れ、可能性の可否を確認すれば、バックオフィス業務全体の効率化が可能です。

お試しを利用する

システムを検討する際は、お試し利用をすると良いでしょう。
近年は多くのシステムが、1ヵ月程度の無料お試し期間を設けております。
安価で必要な機能があったとしても、操作が複雑など使い勝手が悪く、利用できなければ意味がありません。
無料お試し期間を利用し、操作性や視認性などを確認すれば、導入後のリスクを抑えられます。

まとめ

この記事では、システムを利用する・しない場合におけるシフト作成の流れや、システムを利用するメリット・デメリット、導入システム選定のポイントについて解説しました。
勤怠・シフト管理の双方ができるシステムの利用には、コストがかかるなどのデメリットがある一方、以下のメリットも存在します。

  • 業務効率化につながる
  • 情報を一元化できる
  • ミスの抑制やリスク管理につながる
  • 人件費の抑制につながる

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監修者名:社会保険労務士・行政書士オフィスウィング 板羽愛由実

参考:

勤怠管理システムの価格・特徴を徹底比較|HRNOTE