働き方改革の満足度は低い?働き方改革を進める上で本当に大切なこととは

働き方改革


働き方改革の満足度は低い?働き方改革を進める上で本当に大切なこととは

みなさまの企業では、働き方改革はうまく進んでいますか?

ようやく働き方改革関連法案が成立し、世の中の注目度もますます高まる働き方改革ですが、実は効果を感じている企業の割合、従業員の満足度ともにそれほど高くないのが実態です。

では、なぜうまくいかないのでしょうか。

働き方改革がうまくいかない理由と、本当に大切なことは何なのか?今回はこのことをテーマに取り上げます。

 

各社の働き方改革の施策と実態

 

働き方改革の実態調査によると、各社の施策としては、①長時間労働の是正(残業時間制限、有休取得奨励等) ②業務の見直し(標準化、プロセスの簡素化、業務廃止・統合等) ③組織風土改革/意識改革 ④オフィス環境の整備 ⑤在宅勤務・オフィス外勤務の促進 と続いており、過半数の企業で「長時間労働の是正」・「業務の見直し」が行われている状況です。

このようにいろいろな施策が行われてはいるものの、それがうまく機能しているかというとそれは別の問題のようです。

実際、こんな声をよく聞きます。

「働き方改革によって管理職が長時間労働になっている」、「在宅勤務制度があるのに誰も使わない」、「『もっと働きたい』と残業抑制に反発する」、「退社後、カフェで仕事をしている」、「人事部門が現場から責められる」、「フリーアドレスにしたのに結局席が固定してしまう」、「『ジタハラ』で従業員が疲弊している」などなど…。

36協定の対象となる一般社員の時間外労働は減ったものの、その分のしわ寄せが管理職に来て、多くの管理職が以前よりも長時間労働になっているという実態はありませんか?

また、従業員の業務実態の把握が不十分で、単に労働時間の短縮だけを目的とした早期帰宅の強要は新たなハラスメント「ジタハラ」を招く危険性があります。

働き方改革の満足度調査では、働き方改革の効果を感じている企業は全体の49%と半数程度で、従業員の満足度も得られたと回答した企業はわずか28%にとどまるという残念な結果も出ています。

では、なぜ働き方改革はうまくいかないのでしょうか?

原因はいろいろあると思いますが、そのひとつとして、働き方改革の目的・ビジョンがないこと、または目的・ビジョンがあってもそれがはっきりしていない、共有されていないということが挙げられるのではないでしょうか。目的・ビジョンが共有されていなければ、社員にとって働き方改革は“他人事”です。なぜそれをやらなければならないかが腹落ちしていないので、積極的には動かず、結局は経営者や人事部門の一人芝居のような状況になってしまいかねません。

 

働き方改革を進める上での2つのアプローチ

 

働き方改革を進める上でのアプローチは2つあります。ひとつは「業務プロセスの改革」。これには例えば勤務間インターバルなど、新たな制度を導入するといったことも含まれます。そしてもうひとつは「意識改革」です。

これからお伝えするのは「意識改革」のアプローチのほうです。

多くの企業が悩まれているのは、働き方改革がうまく進まないことだけではないはずです。

社員が自律的に動かない、人材採用がうまくいかない、離職率が高い、などのお悩みの声を非常によく耳にしますが、働き方改革もこれらの課題も根底にあるものは同じだと思います。

そんなことから、今回は、働き方改革を「意識改革」というソフト面で考えてみませんか?

 

うまくいくための3つのキーワード

 

働き方改革についても、それ以外の施策を進める上でも、大切なのはこの3つではないでしょうか。

①経営者の想い

②目的意識

③コミュニケーション

うまくいっている企業ではこれらがしっかり浸透しています。

では、それぞれのキーワードについて少し見ていきましょう。

①経営者の想いについて

みなさまの企業では、なぜ働き方改革を行うのでしょうか?会社として目指すべき姿やその価値をしっかり従業員の皆さんへ伝えられていますか?そして、そのメッセージは継続的に発信されていますか?

経営者は多忙を極めますので、なかなか従業員に向き合う時間が取れないというのが現実だと思います。しかし、経営者自らが自社の視点で働き方改革の必要性を説き、継続的にその姿勢を見せることが実は非常に重要な鍵を握ります。実際、働き方改革に関する調査では、働き方改革の効果を感じている企業の62%が、経営者が働き方改革に複合的に関与しており、逆に働き方改革の効果を感じていない企業では経営者の働き方改革への複合的な関与は36%にとどまっているという結果が出ています。尚、複合的な関与とは、「社内への働き方改革推進のメッセージ発信」、「施策の企画・実行に関する討議への参加・意思決定」、「取組み状況のモニタリング」のうち、いずれか2つ以上の形で関与していることを指します。

②目的意識について

①で経営者から想いが伝えられていることを前提に、管理職からも部下に対して、その目的や意味を伝えることが大切です。働き方改革に限らず、仕事をする上でも、自らそれをやりたいと感じ、モチベーション高く取組むためには、その意味が腹落ちすることが必要です。何のために取組んでいるのか分からないことに対してはモチベーションが上がらないのは当然のこと。それを伝えられておらず、単なる定時退社の強要をしてしまうと、「ジタハラ」という結果を招くことになりかねません。上から言われたから、ということではなく、ぜひ管理職の視点で部下の皆さんにその目的や意味を語ってさしあげてください。

③コミュニケーションについて

「コミュニケーションが重要なのは当たり前だろう」という声が聞こえてきそうな気がしますが、これも働き方改革を進める上で重要なキーワードになります。

会社の決めた施策に積極的に取り組まない従業員がいた場合、その人の声に耳を傾ける姿勢を見せられていますか?円滑なコミュニケーションのためには相手の価値観を理解することが重要です。相手を良く知った上で相手の性格、個性、思考方法に合わせて声をかけたり、必要な指導をすることで、相手の自発性を引き出すことが可能になります。そして、他者理解のためにはまず自分を理解する、自己理解がその第一歩です。まずは自分の強み、興味関心、価値観を客観的に理解した上で、相手の強みや興味関心、価値観などを理解する。つまり自己理解→他者理解の順番で進めるわけです。

そしてもうひとつ重要なのが、「傾聴・質問・承認」です。アクティブリスニング、詰問しないこと、褒めること、これらも円滑なコミュニケーションには必須になります。

働き方改革についても、「なぜやらないのか?」「なぜできないのか?」と詰問調にするのではなく、何かひとつでもうまくいったことがあるなら、「なぜあの時はうまくいったんだろう?」「何が良かったのかな?」という視点を持たれてみてはいかがでしょうか。

今回は法律や制度のお話は抜きにした、ソフト面に注目した働き方改革についてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。

他社の施策を真似しただけの働き方改革がうまくいかない理由もこんなところにあるのだと思います。

みなさまの企業風土や業界の特性などを踏まえて、業務プロセス改革と意識改革を両輪で進められると良いですね。ぜひ、これを機に意識改革についても着目してみてください!

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参考:

デロイトトーマツ「働き方改革の実態調査2017~Future of Workを見据えて~