2019.10月ついに東京都の最低賃金が1000円の大台へ!~最低賃金のルールを確認しましょう~
人事労務
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2019.10月ついに東京都の最低賃金が1000円の大台へ!~最低賃金のルールを確認しましょう~
2019年10月1日、都道府県ごとに定められている地域別最低賃金額が改定されました。
改定後の全国加重平均額は901円(昨年度874円)で、全国加重平均額27円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額となりました。
この改定により東京都が985円から1013円へ、神奈川県が983円から1011円へ、いずれも28円の引上げとなり、ついに2都県で1000円の大台に乗りました。
今回は、この最低賃金をテーマに取り上げ、そのルールについて確認したいと思います。
最低賃金とは?
最低賃金制度とは「最低賃金法」という法律に基づき、国が賃金の最低額を定め、使用者はその最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度です。
最低賃金には、各都道府県に1つずつ定められた「地域別最低賃金」と、特定の産業に従事する労働者を対象に定められた「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。
「特定(産業別)最低賃金」は「地域別最低賃金」よりも高い金額水準で定められています。
地域別最低賃金とは
「地域別最低賃金」とは、産業や職種にかかわりなく、各都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金です。各都道府県に1つずつ、全部で47件の最低賃金が定められています。
「特定(産業別)最低賃金」とは
「特定(産業別)最低賃金」は、特定の産業について設定されている最低賃金です。関係労使が基幹的労働者を対象として、「地域別最低賃金」よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認める産業について設定されているものです。
この特定(産業別)最低賃金は、以下の労働者には適用されません。
・18歳未満または65歳以上の労働者
・雇入れ後一定期間未満の技能習得中の労働者
・その他当該産業に特有の軽易な業務に従事する労働者
尚、地域別と特定(産業別)の両方の最低賃金が同時に適用される労働者には、使用者は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。
最低賃金が適用される労働者の範囲
地域別最低賃金は、パートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託など雇用形態や呼称に関係なく、各都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用されます。
ただし、以下の労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件に個別に最低賃金の減額の特例が認められています。
・精神または身体の障害により著しく労働能力の低い者
・試の使用期間中の者
・基礎的な技能及び知識を習得させるための職業訓練を受ける者
・軽易な業務に従事する者
・断続的労働に従事する者
最低賃金の減額の特例許可を受けたい場合、使用者は最低賃金の減額の特例許可申請書を作成し、所轄の労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長に提出する必要があります。
尚、派遣労働者には、派遣元の事業場の所在地にかかわらず、「派遣先」の最低賃金が適用されますので、派遣会社の使用者は派遣先の事業場に適用される最低賃金を把握しておくことが必要です。
最低賃金の対象となる賃金
最低賃金の対象となるのは毎月支払われる基本的な賃金です。残業代や賞与は対象外になりますので注意が必要です。
最低賃金を計算する場合には、実際に支払われる賃金から以下の賃金を除外したものが対象となります。
【最低賃金の対象とならない賃金】
①臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
②1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
③所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
④所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
⑤午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
⑥精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
最低賃金のチェック方法
賃金が最低賃金額以上となっているかどうかを調べるには、月給や週給、日給制などの場合は、対象賃金額を時間額に換算し、適用される最低賃金額と比較します。
【最低賃金額の計算方法】
①時間給の場合
時間給≧最低賃金額(時間額)
②日給の場合
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
③月給の場合
月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
④出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合
出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金算定期間において出来高払制その他の請負制によって労働した 総労働時間数で除した金額≧最低賃金(時間額)
尚、2019年10月1日に改定された地域別最低賃金額および特定(産業別)最低賃金については以下のサイトより確認していただくことができます。
▼「必ずチェック 最低賃金 使用者も、労働者も」(厚生労働省サイト)
https://pc.saiteichingin.info/table/page_list_nationallist.html
本人の合意があっても最低賃金を下回ることはできない
仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされます。
最低賃金は労働者に周知する義務がある
使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者の範囲およびこれらの労働者に係る最低賃金額、算入しない賃金、効力発生年月日を労働者に対して周知する必要があります。
社内の掲示板やメールなどを利用して労働者への周知を行いましょう。
参考: