工数管理の方法とは?具体的なやり方や失敗しないための注意点も解説

働き方改革 / 工数管理


工数管理は、プロジェクト成功の鍵を握る重要な要素の一つです。効率的な工数管理を行うことで、プロジェクトのスケジュールとコストを適切にコントロールし、資源を最適に活用できます。しかし、具体的にどのように工数管理をすればよいかわからない方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、工数管理の基本的な概念から具体的な手順、失敗しないためのポイント、利用するツールについて解説します。ぜひこの記事を参考に工数管理を行い、プロジェクトの効率を向上させてみてください。

工数管理とは

工数管理とは、プロジェクトや日常業務における作業量や業務量の計画・追跡・評価を行うことです。工数管理は、とくに複雑なプロジェクトや多くのスタッフが関与する業務において、効率的な運営を実現するために重要となります。ここでは、そもそも工数とは何か、またその目的や重要とされる理由、工数管理を行うメリットについて見ていきましょう。

工数とは

工数とは、ある特定の作業やプロジェクトを完了させるために必要な総作業時間と人数を表す指標です。工数は、プロジェクト管理や生産管理において、作業量を計画・管理するために算出されます。工数を算出する一般的な計算式は以下のとおりです。

工数 = 作業に必要な時間 × 必要な人数

たとえば、ソフトウェア開発プロジェクトにおいて、一つのタスクを完了させるのに20人の開発者が2週間必要な場合、このタスクの工数は「40人週」となります。工数を表す際には「人月」という単位が頻繁に用いられます。これは、1人の作業者が1カ月間で達成できる作業量です。

このように工数を計算することで、プロジェクトのスケジュールを立てる際の参考になるだけでなく、プロジェクトの予算編成やリソース配分の決定に役立てられます。

工数管理の目的

工数管理の目的は、主に以下の2点です。

  • ・コストの正確な評価を行う
  • ・作業効率や生産性を高める

まずは、工数管理を通じてプロジェクトや業務における作業時間を把握し、コストの正確な評価を行うことです。作業時間を正確に計算し、それに基づいて人件費やその他の費用を把握することで、プロジェクトの予算を効率的に管理することが可能となります。コスト見積もりの正確性はプロジェクトの原価計算に直結するため、利益の最大化という観点でも重要です。

第二の目的は、プロジェクトメンバーの作業効率や生産性を高めることです。工数管理を徹底することで、各メンバーは自身の作業時間や効率を意識するようになります。これにより作業の質が上がり、時間管理能力の向上にもつながります。

工数管理が重要な理由

工数管理が重要視される理由は、プロジェクトの進行において予測と実際の作業量のギャップを最小限に抑えることにあります。プロジェクト管理において、時間とリソースは非常に貴重です。不十分な管理はプロジェクトの遅延や品質の低下、コストの増加を引き起こす可能性があります。そのため、限られたリソースを最大限効率よく利用するためにも工数管理が重要とされているのです。

工数管理のメリット

工数管理を適切に実施すると、主に以下のようなメリットを得られます。

  • ・作業効率を高めてコスト削減できる
  • ・作業の透明性や品質を向上できる
  • ・工数の予測精度を向上できる

まず、工数管理を行うことで各タスクの所要時間とリソースの配分が最適化されるため、作業効率が向上します。これにより無駄を削減し、生産性を向上させることが可能です。このような工数のリアルタイムな追跡により、余分な出費を避け、全体のコストを抑えられます。

次に、工数管理のデータをチーム内で共有するとプロジェクトの進捗状況を全員が把握しやすくなるため、透明性が高まる点です。特定の業務に工数が足りていないなどの問題が早期に発見されるため、安定したリソースを維持でき、作業品質の向上にもつながります。

また、工数の予測精度が向上する点も大きなメリットです。過去のプロジェクトから得られる工数データを活用することで、未来のプロジェクトの計画時により正確な予測が可能となります。新規プロジェクトのコスト見積もりや計画の正確性が高まるため、プロジェクトの成功確率を大幅に向上させられます。

工数管理の方法と手順

工数管理は、具体的にどのような方法で行うのがよいのでしょうか。ここでは、工数管理を行うための手順を以下4つに分けて解説します。

  1. 1.工数を集計する表を作成する
  2. 2.工数の見積もりを行う
  3. 3.日々の工数入力を行う
  4. 4.工数を集計し、改善を行う

手順①:工数を集計する表を作成する

工数管理を始める際には、まずは工数を集計するための表を作成します。この表には、以下の項目を入れるとよいでしょう。

  • ・作業の名前
  • ・作業者の名前
  • ・作業にかかった時間

また、表ではプロジェクトの各タスクやアクティビティを明確に分け、それぞれのタスクに対する予定工数と実際の工数を入力できる項目を設けます。これにより、プロジェクトの時間管理が行いやすくなり、効率的なスケジューリングが可能です。

この表を作成するツールとしては、エクセル・工数管理ツール・勤怠管理システムなどがあります。それぞれのプロジェクトメンバーがアクセスしやすい形で共有し、リアルタイムで更新できるツールを選ぶことが重要です。また、プロジェクトの進捗に応じて必要に応じて柔軟に変更や追加ができるよう、表のフォーマットは適宜見直しを行うようにしましょう。

手順②:工数の見積もりを行う

プロジェクトの計画段階においては、全体のスケジュール管理とコストコントロールのためにも、各タスクの工数見積もりを行うことが大切です。工数の見積もりは、プロジェクトに関わるメンバーのスキルセットや経験などを考慮し、過去の類似プロジェクトのデータを参考にしながら算出しましょう。

見積もりの際には、各タスクを細分化し、それぞれに必要なスキルやリソースを算出します。実際に作業を行うチームメンバーと見積もりについて議論を行い、実務的な観点からのフィードバックを取り入れるのもよいでしょう。また、予期せぬ遅延に対応できるよう、見積もりには適切なバッファ時間を加えるのが一般的です。

これにより各タスクに対する現実に近い工数が算出され、これがプロジェクトの工程表やスケジュールに反映されます。正確な工数見積もりを算出することで、プロジェクトを期限内に完了できる確率を高め、予算超過のリスクを減少させることが可能です。

手順③:日々の工数入力を行う

プロジェクトを実際に行うフェーズでは、日々の工数入力がプロジェクト管理の質を大きく左右します。正確なデータを適宜入力することで、プロジェクトの進捗を管理でき、状況に応じて効率的なリソース配分を行えるのです。

具体的な方法としては、プロジェクトメンバーが毎日または作業終了時にその日の工数を記録します。毎日更新することでデータが最新の状態に保たれ、正確な進捗分析が可能です。

もし、見積りどおり作業が進まなければ、すぐに必要な対策を講じる必要があります。予定工数と実績工数の乖離を早期に発見するためにも、プロジェクトマネージャーやリーダーは、定期的に工数データを確認し、入力漏れや誤りがないかを監視しましょう。

このような日々の工数入力を適切に行うことで、プロジェクトをスムーズに進められ、次のアクションプランを立案しやすくなります。

手順④:工数を集計し、改善を行う

プロジェクトが完了したら、収集した工数データを集計し、プロジェクトの成果と効率を評価することが重要です。工数をただ記録するだけではなく、適切に集計・評価を行うことで、将来のプロジェクトの計画を改善できます。

データを集計する際には、タスクごと・人ごと・フェーズごとの工数を詳細に分析しましょう。予定されていた工数と実際の工数とを比較し、各タスクやプロジェクトメンバーのパフォーマンスを評価します。これにより、効率的に作業を進められた領域や、改善が必要な領域を特定することが可能です。

その後、収集したデータと評価結果をもとに、プロジェクトチームへのフィードバックを行いましょう。具体的な改善策まで考えることで、次回のプロジェクトに活かせる結果を得られます。

このように、集計と改善をPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルとして継続的に実施することで、プロジェクト管理の効率が向上し、コスト削減・スケジュール遵守・品質の向上につなげることが可能です。

工数管理で失敗しないためのポイント3選

工数管理はさまざまなメリットがありますが、陥りやすい失敗もいくつか存在します。ここでは、工数管理で失敗しないためのポイントを以下3つ紹介します。

  • ・こまめな入力・管理をする
  • ・定期的な分析と改善を行う
  • ・工数管理の目的を社員に共有する

ポイント①:こまめな入力・管理をする

工数管理は、日々の作業工数をこまめに入力して管理することが極めて重要です。プロジェクトの進行では、小さなズレも積もり積もって大きな遅延や予算オーバーにつながる可能性があります。そのため、プロジェクトメンバーが毎日の作業終了時にその日の工数を正確に記録する習慣をつけることが必要です。

定期的な工数入力を行うと、プロジェクトの進行状況がリアルタイムで確認できるため、日々のデータから逸脱が発生しているタスクを早期に特定し、対策を講じることもできます。正確なデータに基づいた効果的なプロジェクト管理を行うためにも、こまめな入力・管理がポイントとなるのです。

ポイント②:定期的な分析と改善を行う

工数管理では、データの定期的な分析とそれに基づいた改善が重要です。適切にデータ分析を行うことで、プロジェクトの効率・成果を最大化できます。この分析を行う際のポイントとして、以下3つを見ていきましょう。

  • ・データ収集の定期化
  • ・KPIの設定
  • ・PDCAサイクルによる改善

まず、データ収集を行う時期をあらかじめ決めておくことが重要です。プロジェクトメンバーからの工数データを、週単位や月単位といった一定期間ごとに集計します。

また、KPIの設定もポイントです。KPIとは「重要業績評価指標」の略で、企業活動における目標の達成度合いを測る指標を指します。プロジェクトの目標達成度を測る指標を設定しておくことで、定量的なデータを分析がしやすくなり、改善にもつながりやすくなるのです。

最後に、分析と改善はPDCAサイクルを回すことを意識しましょう。改善策を実施したあとは、必ずその改善策の効果を評価し、必要に応じてさらに調整を行うようにします。このサイクルを繰り返すことで、プロジェクト管理の質を継続的に向上させることが可能です。

ポイント③:工数管理の目的を社員に共有する

工数管理を失敗しないためには組織全体の理解と協力が欠かせません。そのため、工数管理の目的や利点を社員全員と共有することが重要です。

共有する方法としては、たとえばオリエンテーションやトレーニングが挙げられます。新たなプロジェクトが始まる際に工数管理の重要性と具体的な方法を周知し、従業員に工数管理の手順を正しく理解してもらえるようにしましょう。

また、工数管理は日々の欠かさない入力が必要です。一斉メールや定期ミーティングなどで工数管理の状況を随時共有し、組織全体で工数管理について認識を一致させましょう。工数データや分析結果を可能な限りオープンにすることで、全社員がプロジェクトの状況を把握し、自身の業務が全体にどのような影響を与えているかを理解しやすくなります。

フィードバックの際には、社員からの意見を積極的に求め、改善提案をプロジェクト管理プロセスに反映させることも大切です。社員は自らが工数管理プロセスの改善に寄与できると感じられれば、工数管理へのより積極的な参加を促せます。

工数管理で利用するツール

工数管理を行うには、どのようなツールを利用すればよいのでしょうか。ここでは、工数管理によく利用される以下3つのツールについて、メリット・デメリットを紹介します。

  • ・エクセルやスプレッドシート
  • ・工数管理システム
  • ・勤怠管理システム

エクセルやスプレッドシート

エクセルやスプレッドシートは、工数管理を手軽に始められる点が魅力のツールです。ほとんどのオフィス環境で既に利用されているため、追加のコストがかかることなく導入できます。また、ユーザーの多くが基本操作に慣れているため、トレーニングの手間が省けるのもメリットです。

しかし一方で、データ量が増加すると動作が重くなり、管理が困難になる場合もあります。また、特定の担当者のみが操作・管理することで、担当者が不在の場合に情報が引き継がれにくい問題が生じる可能性がある点にも注意が必要です。

工数管理システム

工数管理システムは、工数データの入力・追跡・分析を効率的に行うために設計された専用のソフトウェアです。工数の自動計算・複数プロジェクトの同時管理・リアルタイムでの進捗状況の可視化など、高度な管理機能を備えているのが特徴です。直感的な操作性と視覚的にわかりやすいインターフェースであるため、ユーザーの負担も軽減されます。

デメリットとしては、初期導入費用および維持費といったコスト面の問題です。小規模企業にとっては大きな初期投資となることもあるでしょう。また、新しいシステムに慣れるまでに時間がかかることがあり、全社員が効果的に使用するためには適切なトレーニングが必要です。

勤怠管理システム

勤怠管理システムは、主に従業員の出勤・退勤時間を管理するために使用されますが、これを工数管理に応用することも可能です。とくに、労働時間に基づくプロジェクトのコスト計算を行う場合に役立ちます。出勤・退勤の記録を自動で行い、それに基づく工数の計算も自動化されます。

ただし、より詳細な工数管理を行う際には、プロジェクトの詳細な進捗管理が困難な場合もあります。基本的には勤怠データの追跡に特化しているため、複雑な工数管理を行いたい場合は別のツールを利用するとよいでしょう。

まとめ

この記事では、工数管理の方法や、失敗しないためのポイント、利用ツールなどについて解説しました。工数管理は、プロジェクトのスケジュールやコストを効果的に管理するために重要です。こまめな入力・定期的な改善・従業員への共有といったポイントをおさえて、効果的に工数管理を行ってください。

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