工数管理とは?実施するメリットや実際の方法・運用のポイントを解説


勤怠管理における「工数管理」は、業務の見える化や効率化において必要不可欠です。
しかし、実際にどのように工数管理を実施・運用すればよいかわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、工数管理についてその定義やメリット、実施の方法やポイントについて解説します。
とくにIT企業に求められる工数管理を効率的に運用して生産性を高めたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

工数管理とは?

そもそも工数管理とはどのようなものなのでしょうか。
ここでは、工数管理の定義や、必要とされる理由について解説します。

工数管理とは、労務費を算出してできるように管理すること

工数管理とは「プロジェクトに必要な業務時間を分解し把握すること」を意味します。
プロジェクトごとにかかった作業時間を明確にすることで、より効率的に業務を行なうためのデータを得られるのです。
工数管理は、主に以下の業種で特に重要とされています。
・システム業
・クリエイティブ業
・製造業
・広告業
・コンサルティング業
・建設業

これらの業種で工数管理が必要とされているのは、従業員の作業効率が利益にそのまま結びつくためです。
工数管理を行なうことで、どのプロジェクトにどれくらいの人員・予算が必要となるかを明確にして、業務効率を上げることができます。

工数管理が必要となる理由

それでは、なぜ工数管理が必要とされているのでしょうか。
工数管理が必要となる大きな理由の一つは、プロジェクトごとの利益を正しく算出するためです。
プロジェクトの利益を算出するには「労務費」「材料費」「経費」「外注費」といった費用がいくらかかったのか計算する必要があります。
このうち「材料費」「経費」「外注費」はかかった費用をそのまま計算すればよいですが、「労務費」に関してはプロジェクトごとの作業時間が必要です。
1時間単価いくらの従業員が何時間そのプロジェクトで働いたかを記録しておくことで、労務費が明確になり、プロジェクトの利益が正しく算出されます。
このように、プロジェクトの利益率を正しく測るために工数管理が必要とされているのです。

工数管理を行なうメリット

工数管理を行なうとさまざまなメリットがあります。
ここでは、とくに恩恵の大きい以下4つのメリットについて詳しく見ていきましょう。
・スケジュール調整が容易になる
・進捗が可視化され生産性が向上する
・モチベーションや作業効率が向上する
・工数データを見積りに活用できる

スケジュール調整が容易になる

工数管理を行なうことで、プロジェクトのスケジュール調整がしやすいというメリットがあります。
プロジェクトを適切に進めるためには、それぞれのタスクに必要なスキルを持った人員のスケジュール調整が必要です。
しかし、現在誰がどれくらいの作業をしていて、誰の手が空いているのか、すぐにはわからないことも多いでしょう。
感覚的にアサインしてしまい、あとから手が回らなくなると、プロジェクト全体のスケジュールが崩れてしまいかねません。
そのため、工数管理を行なうことで誰がどのタスクをどれくらい行っているか把握することが重要なのです。

進捗が可視化され生産性が向上する

工数管理によってプロジェクトの進捗が可視化されるのも大きなメリットです。
タスク漏れの防止になるほか、作業ごとにどれくらいの工数がかかっているかを算出することで、どの作業で時間がかかっているのか、人員が足りないのかなどを把握できます。
工数管理は、このような生産性向上の改善策を考えるうえでの元データとなるのです。
必要な業務に適切な人員を送ることで生産性が向上すれば、プロジェクトの進行がスムーズになるだけでなく、余分な残業代の削減や売上の増加につながります。
このように、工数管理によって進捗が可視化されることは大きなメリットとなるのです。

モチベーションや作業効率が向上する

工数管理を行なうことで、従業員のモチベーションが上がり、その結果、作業の効率が上がることも期待されます。
日々の業務のなかで、自分がどれくらいの作業を行っているのかは具体的に見えにくいです。
しかし、工数管理を行なうことで自身がどれくらい働いたかを数値で確認できるため、モチベーション向上が見込めます。
また、それぞれの従業員が工数を意識することで、業務効率向上について考える機会にもなるでしょう。
このように、工数管理を行なうことで、従業員一人ひとりが工数や効率化の改善を積極的に行なうきっかけを与えてくれる側面もあるのです。

工数データを見積りに活用できる

工数管理によって得られたデータを、次回以降の見積りに活用できるというメリットもあります。
これは、工数管理を行なうと、どのようなプロジェクトにどれくらいの工数がかかるのかというデータが社内で蓄積されるためです。
すると、次に同じようなプロジェクトにどれくらいの工数が必要なのかを試算するのが容易になります。
工数見積りの精度が上がることで、人員のアサインやスケジュール調整がしやすくなるでしょう。
また、重点的に人員を割くべきタスク業務なども見分けやすくなり、計画段階から作業効率を考えることもできます。
このように、得られた工数データを活用して次回以降の改善に繋げられることが、工数管理を行なうメリットの一つです。

工数管理を行なう3ステップ

具体的に工数管理はどのように行えばよいのでしょうか。
ここでは工数管理の方法について以下の3つのステップに分けて解説します。
・管理表や運用ルールを作成する
・ルールに沿って日々の集計を行なう
・適宜集計し、改善を行なう

ステップ①:管理表や運用ルールを作成する

工数管理を実施する際には、まず記録のもととなる工数管理表と、それをどのように記載するかという運用ルールを作成しましょう。
管理表を作成する際のポイントは、実際に従業員が記載しやすいかどうかを考えることです。
工数管理は毎日行なう業務であるため、記載しにくいと工数管理そのものが手間のかかる業務となってしまう可能性もあります。
そのため、工数管理表の使い勝手について従業員から直接フィードバックしてもらうのもよいです。
また、日報を記載するスペースを設けることで、日々の工数について振り返る機会を持たせる運用方法も考えられるでしょう。

ステップ②:ルールに沿って日々の集計を行なう

工数管理表と運用ルールが作成されたら、それに沿って日々の集計を行いましょう。
工数管理では、実際のタスクにかかった工数をプロジェクトごとなどで毎日記録していきます。
記録の粒度は、1時間ごと・30分ごと・15分ごとなど、運用ルールによってさまざまです。
細かく記録できればそのぶんデータの精度が上がりますが、従業員が記録する負担も増えてしまうため、バランスを考えて設定しましょう。
また、実際の現場では、複数のプロジェクトにわたって業務をしていたり、思いもよらない作業が入ったりと、想定外の事態も多いです。
運用ルールは厳密に決めるのではなく、ある程度の柔軟性を持つようにして、従業員が記録しやすいよう適宜見直していきましょう。

ステップ③:適宜集計し、改善を行なう

実際に工数管理が運用されるようになったら、必ず一定期間ごとに集計して、プロジェクトの改善に役立てるようにしましょう。
工数管理によって得られたデータは、各プロジェクトにかかる労務費を算出するための重要なものです。
従業員の時間単価とかかった工数をもとにすることで、プロジェクトの利益率をすぐに割り出すことができます。
この集計は、まだプロジェクトの実施途中であっても有効な方法です。
プロジェクトの残りの期間に、どの業務に力を入れるべきなのかが明確になります。
また、スケジュールどおりにいかないプロジェクトがあれば、そちらへ人員を追加して社内全体でバランスをとることも可能です。
このように、工数管理はただ作業の記録を行なうだけでなく、実際に集計と改善を繰り返していくことが重要となります。

工数管理の方法についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事:失敗しないための工数管理方法とは?ポイントや注意点を解説

工数管理を効率的に行なうポイント

工数管理を効率的に行なうにはどのような点に気をつければ良いのでしょうか。
ここでは、とくにポイントとなる以下3点について詳しく解説します。
・入力の手間がかかりにくい運用にする
・プロジェクトコードの管理にも留意する
・プロジェクト全体でデータを共有すある

入力の手間がかかりにくい運用にする

工数管理では、入力の手間がかかりにくい運用にするのがポイントの一つです。
多くの企業では、プロジェクト別や作業別のデータを入力する仕組みがあっても、正しい数値が入らないということが問題となっています。
その原因としては、たとえば通常の勤怠管理システムとは別にプロジェクト用の工数管理の数値を入力しなければならない仕組みになっており、入力が煩雑になっていることなどです。
同じような作業時間に関するデータを入力するのが大変であるため、実際の作業時間とは異なった単純な数値を入力してしまうことにつながります。

また、データを入力するタイミングが毎月1回でまとめて入れる場合、正確な工数を入力できないといったことが、実際に起こっている可能性もあるでしょう。
このような状況では業務改善に活かせるようなデータが集まるわけもなく、手間をかけて入力した割には使われることもありません。
さらに、データの精度が落ちていくという負のスパイラルに陥ります。

このような状況で、工数管理システムが形骸化しているというIT企業も少なくありません。
正しいデータが毎日入力されるようにするためにも、入力の手間がかかりにくい運用にするよう心がけましょう。

プロジェクトコードの管理にも留意する

プロジェクトコードの管理も、工数管理でつまずきやすいポイントです。
プロジェクトごと・作業フェーズごとの正しい作業工数を集計するためには、データ入力時点で正しいプロジェクトコードなどがシステムに反映されている必要があります。
これは、終わったプロジェクトがまだシステム上に残っていたり、新しいプロジェクトが登録されていない状態では、正しい工数が入力できないためです。
しかし、プロジェクト管理は複雑になることが多いため、運用ルールを定める必要があります。
誰が・いつ・どのような形で管理をするべきかを決めていないと、なかなか運用が回らないのです。
これは工数管理のシステムを導入するだけでなく、どのような運用を行うべきかといったノウハウも必要な部分といえるでしょう。

プロジェクト全体でデータを共有する

プロジェクト全体で工数データを共有することも、工数管理を効率的に進めるポイントです。
工数管理を行っていても、常にその状況を各メンバーが把握していなければ十分な効果が発揮できていません。
工数の情報をプロジェクト全体で共有することで、それぞれのメンバーが必要な業務についてより強く意識することが可能です。
そのためには、工数管理表を全員が見えるサーバーに保存しておくなどの工夫をするとよいでしょう。
また、定期的なミーティングでメンバー間での情報共有を行なうなど、お互いの作業状況について知る機会を設けることが大切です。
このように、工数管理によって得られた情報は管理者だけが確認するのではなく、プロジェクト全体で共有して改善に生かすことがポイントとなります。

工数管理を行なう方法

実際に工数管理を行なうにはどのような方法があるのでしょうか。
ここではよく利用される工数管理の具体的な方法について、以下の3つを詳しく解説します。
・Excel(エクセル)で管理する
・工数管理ツールを使う
・勤怠管理システムを使う

Excel(エクセル)で管理する

たくさんのデータを効率的に管理できるExcelを利用するのも一つの方法です。
Excelを利用する場合、ファイルを一人ひとりに用意するパターンや、プロジェクトごとに分けるパターン、全体で一つのファイルを使うパターンなどに分けられます。
実際に記載する内容としては、以下のものが考えられるでしょう。
・従業員名
・プロジェクト名
・プロジェクトコード
・作業日
・作業時間
これらのデータを従業員に記載してもらい、管理者が集計を行ないます。
Excelで工数管理をするメリットは、ピボットテーブルなどの集計機能が備わっている点です。
関数やマクロを使うことで、たとえばプロジェクトコードを選択するだけでプロジェクト名が表示されるなど、入力を簡素化する工夫もできます。
普段使っているExcelを使えば追加の費用も発生せず、使い勝手がわかりやすいのが大きな特徴です。
ただし、複数のプロジェクトにまたがって業務しているなど、工数の算出が複雑な場合には対応しにくい場合もあります。
また、プロジェクトの数・従業員の数が多い場合はファイルの管理にも手間がかかってしまう点には注意しましょう。

工数管理ツールを使う

工数管理ツールを使えば、より効率的に工数の入力・集計を行なえます。
たとえば、ガントチャート機能・カレンダー機能が備わっているものであればよりスケジュール管理がしやすくなるでしょう。
また、日々の入力に対してリマインダーを設定できる場合もあり、入力漏れを防ぐことも可能です。
管理者の視点でも、自動的にレポートを作成したり、プロジェクトごとの利益や効率などの算出を自動で行ってくれたりと、管理の手間が減る機能が備わっています。
このように、工数管理ツールを使うことでExcelよりも効率的に工数管理ができるようになります。

工数管理ツールについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事:工数管理ツールの選び方とは?種類や機能、Excelとの違いを解説

勤怠管理システムを使う

勤怠管理システムを利用して工数管理を行なう方法もあります。
工数管理では、勤務時間とプロジェクトごと・作業フェーズごとの工数を同時に入力できる仕組みがあると効率的です。
勤怠管理システムでは同時に簡単に工数データを入力できるため、各社員が正しいデータを入力でき、効果的な工数管理が実施できます。
そういったシステムを別途導入するとなると、費用や時間がかかることになり、運用面での心配もあります。
そのため、まずは同一システム上で簡単に集計値を出力できる仕組みを作り上げることが現実的な一手といえるでしょう。
勤怠管理システムであれば、マネージャーなども承認作業などで日々使うため、自然と工数管理を行うことができるようになります。
このように、日々利用する勤怠管理システムを使って工数管理するメリットは多いのです。

まとめ

工数管理は、プロジェクトの業務効率化をはかるために重要なデータを得られます。
従業員一人ひとりの記録作業が増える側面もありますが、それ以上の効果が期待できるため、しっかりと運用ルールを定めて工数管理を始めてみてください。
工数管理を効率的に行なうためにも、勤怠管理システムの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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