入社時に人事部門がやるべきことをチェック
人事労務
今年も気が付けば2月も下旬になりました。3月に入れば新卒採用の広報が解禁され、一斉に2019年入社に向けた新卒採用活動が始まりますね。その一方で4月1日入社への準備も進めなければならず、人事部門にとっては繁忙期への突入が目前に迫っています。
入社時には労働者から多くの書類を提出してもらう必要があるため、もれの無いように事前に準備し、周知を行っておくことが大切です。
今回は、入社時に必要になる手続きなどをまとめましたので、新卒採用開始への準備の傍らで、こちらを参考にしながら労働者を受け入れる準備を進めていただければ幸いです。
労働条件通知書または雇用契約書の作成・交付準備
労働契約自体は口頭でも成立しますが、特に重要な以下の5項目については書面で明示しなければなりません。(労働基準法第15条)
①労働契約の期間
②就業の場所・従事する業務の内容
③就業時間に関する事項
-始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制
勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項
④賃金に関する事項
-賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締め切り・支払いの時期に関する事項
⑤退職に関する事項
-解雇の事由を含む
特に有期雇用の場合には、契約の更新に関する事項(契約更新の有無やその判断基準)について、後々トラブルにならないよう、しっかりと明記しておく必要があります。
厚生労働省のホームページより、雇用形態別の労働条件通知書をダウンロードできますのでご参考になさってください。尚、雇用契約書とする場合には、この様式に、雇い入れる従業員の署名・捺印欄を加えて作成することができます。
▼労働条件通知書ダウンロード(厚生労働省ホームページ)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken01/
就業規則の交付または周知の準備
就業規則は、常時労働者が10人以上の事業場には作成および届出の義務があります。ここでいう「事業場」とは“会社単位”ではなく、“場所単位”のことを言いますので、例えば支店や営業所、店舗などの出先機関があり、それらの場所の常時労働者が10人以上となった場合には、その場所の所轄の労働基準監督署に届出を行わなければなりません。
この就業規則は会社のルールブックとなりますので、作成して届け出れば良いというものではなく、労働者に周知することで有効となります。誰もがいつでも閲覧できる場所に保管しておくとともに、新入社員に対しては入社時に説明することが必要です。例えば、入社時研修の初日に、説明の時間を確保するなどして対応されてはいかがでしょうか。
締結済みの労使協定周知の準備
労働基準監督署への届出が必要な労使協定/届出の必要の無い労使協定に関わらず、いずれも従業員への周知は行なわなければなりません。これらについても就業規則と同様、入社時に周知ができるよう、準備をしておきましょう。
入社手続きの際に必要な書類
企業によって若干異なりますが、新たに入社する労働者からは以下のものを提出してもらうのが一般的です。
□年金手帳
□源泉徴収票(採用した年に前職のある人)
□扶養控除等申告書
□住民票記載事項証明書
□雇用保険被保険者証(雇用保険被保険者証の交付を受けたことがある人)
□健康保険被扶養者異動届(扶養親族がいる人)
□給与振込口座の届出書
□身元保証書
□誓約書
□免許証、資格証明書、学業成績証明書、卒業証明書など
提出してもらう書類については予め就業規則に明記し、提出を拒んだ場合や提出書類に虚偽があった場合の取り扱いについても規定しておくことが望ましいでしょう。
その他、会社側が行うこと
●雇い入れ時の健康診断
前述した内容以外に会社側が行うこととしてはまず雇い入れ時の健康診断があります。ただし、入社する労働者が3か月以内に受診した健康診断の証明書を提出した場合には、省略することができます。
●社会保険・雇用保険の手続き
「雇用保険被保険者資格取得届」・「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」の提出が必要です。また健康保険については被扶養者がいるときは「健康保険被扶養者(異動)届」も必要となります。さらに、60歳未満の配偶者が国民年金第3号被保険者になることを希望した場合は「国民年金第3号被保険者届」の手続きも行います。
●税金関係の手続き
住民税・所得税の手続き、「源泉徴収簿」の作成を行います。
●社内書類の作成など
賃金台帳、労働者名簿の作成、タイムカードや勤怠管理システムの設定などを行います。
会社が行うことはこれ以外にも社員証や社章、名刺、パソコンの準備など多岐に渡ります。チェックリストを作成し、人事部内で適切に役割分担をしながらもれのないように進めましょう。