労働時間の素朴な疑問を解消!
勤怠管理
目次
労働時間の素朴な疑問を解消!~これってなに時間?~
会社での「時間」にはいろいろな種類があります
会社で働くにあたっては、様々な「時間」が存在します。
「拘束時間」、「労働時間」、「時間外労働時間」、「就業時間」、「休憩時間」…。それぞれの意味するところを把握されていますか?
まず、「拘束時間」は労働者が会社に出勤してから退社するまでの時間のことを言い、この「拘束時間」は「労働時間」または「休憩時間」のいずれかになります。
「労働時間」は会社が決める就業時間である「所定労働時間」と「時間外労働時間」に分けられます。会社が決める就業時間は原則1日8時間、1週間40時間以内であり、1日8時間、1週間40時間を超える時間は「時間外労働時間」として「残業」となり、会社は労働者へ残業代を支払うことが必要です。
「休憩時間」とは、労働者が仕事の途中に仕事から離れることができる時間を保障するもので、労働時間が8時間を超える場合には少なくとも60分間、6時間を超える場合には少なくとも45分間の休憩時間を与えなければなりません。
それぞれの「時間」について理解しておくことが、働きやすい職場作りや労働者とのトラブル回避にもつながりますので、押さえておきましょう。
尚、時間については2019年4月より、企業規模を問わず、『客観的な労働時間の把握』が義務付けられました。健康管理の観点から、裁量労働制が適用される人や管理監督者も含めて全ての人がその対象となっています。
労働時間の把握のための客観的な方法とは、タイムカードやICカード、勤怠管理システムやパソコンのログインログオフ時間、使用者による現認などのことをいいます。自己申告制とすることも現状法違反ではありませんが、労働時間の適正な自己申告について、労働者に対して十分な説明を行うことや、自己申告により把握した労働時間と実際の労働時間との間にかい離が生じた場合に実態調査を行うなど、会社側に多くの措置が求められるため、客観的な方法を導入することが望ましいでしょう。
時間に関する素朴な疑問のあれこれ
◆始業前に制服に着替える行為は労働時間になる?
会社から制服着用を義務づけられている場合には、労働時間となります。つまり、労働者が始業前に制服や作業着に着替え、職場に移動するまでの時間は仕事の一環であるので、労働時間といえます。また、終業後に着替える時間も同様に労働時間になります。
◆始業前の朝礼や終業後の掃除は労働時間になる?
始業前の朝礼や終業後の掃除、棚卸しなどを会社と労働者の暗黙の了解で時間外に行う場合にはその分の賃金を支払わなければなりません。会社側からの明確な指示がなかったとしても、「黙示の指示」による業務も労働時間になることに注意が必要です。
◆昼休みの電話当番は労働時間になる?
「休憩時間」といえるためには、労働者が仕事から離れることが保障されている必要があります。一方で、「手待時間」とは、会社から指示があればただちに仕事ができる態勢で待機している状態のことをいい、この時間は労働時間になります。昼休みの電話当番は「手待時間」になりますので、休憩を取ったことにはならず、他に休憩時間を与える必要があります。
◆暇な時は休憩してOKというルール。これは休憩時間になる?
販売店などにおいて、来客が途切れた時は適宜休憩時間を取ってよいという規則を作ったとしても、来客があればすぐに接客をしなければならない状態は、完全に仕事から離れているわけではないので、休憩時間にはあたりません。別途休憩時間を与える必要があります。
◆定期健康診断の受診時間は労働時間になる?
一般定期健康診断は、労働者の健康を確保するものとして会社にその実施が義務付けられていますが、この時間は労働時間ではありません。一方、深夜労働や有害業務に従事している従業員に対する特殊健康診断は、労働時間として賃金の支払いが必要です。ただし、一般定期健康診断についても、労働者の確実な受診のためには、就業時間内に受診させ、その時間を労働時間とみなすことが望ましいでしょう。
◆出張の往復時間は労働時間になる?
出張の往復に要する時間については、公共交通機関等を利用し、その間、自由に過ごせる場合は労働時間とは考えません。労働時間になるかどうかの判断ポイントは“自由に行動できるかどうか”という点になります。
◆研修の受講時間は労働時間になる?
研修について、業務上義務づけられていない自由参加のものであれば、その研修時間は労働時間とは考えません。つまり、逆に言うと、研修への不参加について、就業規則で減給処分の対象とされていたり、不参加によって業務を行うことができなかったりするなど、事実上参加を強制されているような場合には、研修であっても労働時間になります。
◆店長には残業代を払っていません。これってOKでしょうか?
管理監督者は労働基準法上、労働時間の規定の対象外となっており、残業代を支払う義務はありません。しかし、管理監督者といえるためには次の判断基準をクリアしている必要があります。
1.経営者と一体的な立場と呼ぶにふさわしい重要な職務内容、責任となっており、それに見合う権限の付与が行われているか?
2.重要な職務と責任を有していることから、現実の勤務が実労働時間の規制になじまないようなものとなっているか。
3.①定期給与である基本給、役付手当等においてその地位にふさわしい待遇がなされているか。
②ボーナス等の一時金の支給率、その算定基礎賃金等についても役付者以外の一般労働者と比較して優遇措置が講じられているか。
4.スタッフ職の場合、経営上の重要事項に関する企画立案等の部門に配置され、ラインの管理監督者と同格以上に位置付けられる等、相当程度の処遇を受けているか。
「店長」という役職名が付いているだけで時間外労働として取扱わなくてもよいということにはなりませんので注意が必要です。
労働時間に関してはいろいろなルールが存在し、判断に悩むことも多いのではないでしょうか。
今回取り上げたのはよくあるケースの一例です。
実務上、悩まれた際はぜひ参考になさってください。
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