勤務時間の正しい計算方法とは?労働時間の定義や具体的な管理方法も解説

勤怠管理


勤務時間の正しい計算方法とは?労働時間の定義や具体的な管理方法も解説
勤務時間の正確な計算は、従業員にとっても企業にとっても重要です。しかし、実際にどのように計算をすれば間違いないか、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。この記事では、労働時間の正確な定義や、実労働時間・残業時間・特殊な労働時間制度の適用、具体的な計算方法・管理方法について詳しく解説します。従業員の適切な管理や法令遵守の観点からも重要な「勤務時間の計算方法」について正しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

勤務時間の定義とは?

そもそも「勤務時間」とは、どのような時間を指すのでしょうか。ここでは、勤務時間の定義や、勤務時間を計算するうえで重要となる以下4つのキーワードについて解説します。

  • ・残業時間
  • ・深夜労働時間
  • ・遅刻・早退・欠勤
  • ・不就労控除

労働者がその使用者の指揮命令下に置かれた時間のこと

勤務時間とは、労働者が使用者の指揮命令下にある時間を指します。直接的な業務実行時間だけでなく、使用者のために拘束される全ての時間が含まれる点がポイントです。具体的には、実際に作業を行っている時間はもちろん、仕事の準備や片付け、必要な会議や研修参加時間も勤務時間に計上されます。

業務に即していない休憩時間を除いたすべての時間、および指示の下での待機時間が勤務時間に該当します。使用者の利益のために労働者がどのように時間を使っているかが基準となるため、労働者が自由に使えない時間は原則として勤務時間と見なされるのです。

勤務時間の管理は、労働基準法に基づいて厳密に行われます。労働時間の適正な管理・労働者の健康確保・適切な賃金支払いを行うためにも、このような勤務時間の定義を覚えておくことが重要です。

残業時間とは

残業時間とは、就業規則や労働契約で定められた通常の勤務時間を超えて労働者が働いた時間です。残業は、労働基準法で定める法定労働時間を超えた場合、または労働者と使用者の間で合意された所定労働時間を超えた場合に発生します。

通常、残業には割増賃金の支払いが伴います。日本では1日8時間、週40時間が法定労働時間とされており、これを超える労働に対しては1分単位で給料の支給が必要です。

ただし、1ヶ月の累計の労働時間については、端数処理することが認められています。これは事務処理を簡便化するためで、1ヶ月単位の計算でのみ適用可能です。1日単位での切り上げ・切り下げは認められていないため注意しましょう。

深夜労働時間とは

深夜労働時間とは、通常22時から翌朝5時までの時間帯に行われる労働の時間です。この時間帯の労働は人間の生理的なリズムに反するため、労働基準法では特別な取り扱いがなされています。

深夜労働を行った場合、通常の残業割増(25%増し)に加えてさらに25%の深夜割増賃金が必要です。したがって、深夜時間帯に残業が発生した場合は、合計で150%の割増賃金が適用されます。ただし、割増率は企業によって30%や35%と高く設定されている場合もあります。

深夜労働は労働者の健康への影響が大きいとされるため、割増賃金のほかにも、適切な健康管理措置や休息時間の確保が必要です。企業は深夜労働の必要性を慎重に評価し、無理のない範囲でのシフト計画を立て、労働者の健康保持と生産性の向上の両方に気を配るようにしましょう。

遅刻・早退・欠勤の扱い

遅刻・早退・欠勤が発生した場合、実際に働かなかった時間に相当する金額が労働者の給与から控除されます。遅刻や早退の場合、労働者は予定されていた勤務時間よりも少ない時間しか働かないため、その分の賃金が減額されることになります。一方、欠勤に関しては、全日または部分的に労働に従事しなかった日に対して賃金が支払われないことが一般的です。

ただし、これらの控除を行う際には、遅刻や早退が何分単位で計算されるか、どのような条件で欠勤とみなされるかなどの要件が企業の就業規則に明確に定められている必要があります。減額の基準となる金額は適正でなければならず、不就労に対する調整は過度な処罰とならないよう、賃金規定に基づいて公平に設定されるべきです。

また、遅刻や欠勤が病気や緊急事態によるものである場合、その減給をどのように扱うかも重要です。多くの企業では、医師の診断書の提出を求めたり、特定の理由に基づく欠勤を認める病気休暇や有給休暇の制度を設けています。このような制度を適切に設定することで、労働者の健康や私生活の事情を尊重しつつ、業務の効率性も保持することが可能です。

減額制度とは

減額制度とは、従業員の給与から特定の理由により金額を控除する制度です。この制度は主に遅刻・早退・無断欠勤などの場合に適用され、従業員が勤務契約で定められた時間や条件を満たさないときに行われます。減額は、欠勤した時間数に比例して計算されることが一般的ですが、企業の就業規則で明確に定められていなければなりません。

減額制度を導入する際は、その基準や方法を事前に従業員に通知し、理解してもらうことが重要です。

減額制度は労働者のモチベーションに影響を与える可能性があるため、適切な運用が求められます。不公平感を与えないためにも、制度の透明性を保ち、適用基準を公正に設定し、適用される事由が発生した際はその理由を明確にすることが重要です。

勤務時間の具体的な計算手順

勤務時間を算出するには、具体的にどのような計算を行えばよいのでしょうか。ここでは、勤務時間の計算手順について以下の3ステップに分けて解説します。

  1. ①実労働時間を計算する
  2. ②残業時間などを計算する
  3. ③1ヶ月ごとに集計を行う

手順①:実労働時間を計算する

勤務時間を計算する際には、まず基本となる実労働時間の計算を行います。実労働時間を算出するには、始業時刻と終業時刻から休憩時間を差し引きます。たとえば、労働者が朝9時に出勤して夕方6時に退勤するとし、1時間の昼休憩がある場合、実労働時間は8時間です。この計算は一般的に、出勤と退勤の時刻が記録されたタイムカードや出退勤データに基づいて行われます。

また、正確な労働時間を確定するためには、すべての休憩時間が適切に差し引かれている必要があります。複数回に分けて休憩時間をとる場合はその合計を正しく把握することが重要です。そのため、準備時間や片付け時間も労働時間に含まれる場合があります。この点に留意しましょう。

手順②:残業時間などを計算する

実労働時間を算出したら、次に残業時間の計算を行います。残業時間の算出では、基本的に法定の労働時間を超えた部分を計算します。日本の法定労働時間は、1日8時間・週40時間です。

残業時間を計算するためには、まず1日単位で、通常の労働時間を超えた時間を特定します。たとえば、労働者が8時間の通常労働時間に加えて2時間残業した場合、その2時間が残業時間です。週単位の計算も同様で、週に40時間を超えた全ての時間が残業として計上されます。

残業時間の計算では、タイムカードシステムや勤怠管理ソフトウェアを利用することで、自動的に残業時間を計算し、正しく割増賃金を算出できます。このようなシステムを活用することで、人為的ミスを減らし、残業管理を効率的かつ正確に行うことが可能です。

手順③:1ヶ月ごとに集計を行う

月末には、労働者の1カ月分の勤務時間・残業時間・深夜労働・休日労働時間などの集計を行います。この月次集計で実施することは、まず毎日の勤務記録の確認です。日々の出勤・退勤時刻や休憩時間を含む全ての時間記録を確認します。その後、通常の勤務時間を超えた労働時間を残業時間や、深夜時間帯に働いた時間、休日労働時間などの特別な勤務時間を算出しましょう。最後に、すべての勤務時間・残業時間・深夜労働時間・休日労働時間を合算し、総勤務時間を算出します。

この集計は、勤怠管理システムを用いて自動化されることも多いですが、集計の透明性や精度を確保するためには、人的監視も重要です。月次集計を通じて、労働者が過重労働になっていないか、労働規則に適合しているかどうかを確認し、労働基準法の要件を遵守できているか確認する必要があります。

勤務時間の計算で注意すべきポイント3選

勤務時間を正しく計算するには、気をつけなければならない点もいくつか存在します。ここでは、とくに注意すべき以下3つのポイントについて詳しく解説します。

  • ・勤務時間は1分単位で計算する
  • ・残業時間はとくに注意して計算する
  • ・特殊な労働時間制度を導入している場合は計算方法が異なる

勤務時間は1分単位で計算する

勤務時間の計算は、1分単位での精密な計算が法的に義務づけられています。このルールは労働基準法第24条に基づいており、労働者が働いた正確な時間を反映させるのが目的です。

たとえば、労働者が6時間15分働いた場合、勤務時間は必ず「6時間15分」として扱う必要があり、端数を切り捨てた「6時間」などとして計算することは不適切となります。このような正確な計算は、労働者の適正な賃金計算に直結するため、労働者の権利を侵害しないためにも定められているルールです。

このように、勤怠管理の際には時間を丸めることなく、実際に働いた分単位での記録を行うようにしましょう。これに違反すると、最大で30万円の罰金が科される可能性もあり、厳格な監督が行われています。

残業時間はとくに注意して計算する

勤務時間の計算において、残業時間はとくに注意が必要です。残業とは、1日の法定労働時間または1週間の法定労働時間を超えて働いた時間を指し、これには通常の賃金より高い割増賃金が適用されます。法定労働時間は一般的に1日8時間・週40時間であり、これを超えた労働に対しては、少なくとも25%の割増率で残業手当が支払われる必要があります。

残業時間を正しく算出するには、「労働者の定時」「実際に働いた時間」を正確に把握することが重要です。所定労働時間が8時間の場合、それを超える時間が全て残業となります。

残業時間の計算は、従業員の健康管理や生活バランスを保つためにも重要であり、また企業の労働コスト管理・法令遵守にも直結します。月末の給与計算時に正しい残業手当が支払われているか確認し、労働者の権利保護と企業の信頼性の両方を確保できるようにしましょう。

特殊な労働時間制度を導入している場合は計算方法が異なる

特殊な労働時間制度を導入している企業では、通常の勤務時間計算方法と異なる手法が必要です。「変形労働時間制」「フレックスタイム制」「みなし労働時間制」などがこれに含まれます。

変形労働時間制とは、たとえば1年単位で総労働時間が一定であれば、ある週は法定の40時間を超えて労働し、他の週はそれ以下で働くことが可能な制度です。残業計算は、設定された期間全体で見たときに超過時間が発生しているかどうかに基づいて行います。

フレックスタイム制では、従業員がコアタイム以外の勤務時間を自由に設定可能です。1ヶ月など決められた清算期間の終わりに、法定労働時間と比較して総労働時間がどうなっているかで残業の有無を判断します。

みなし労働時間制とは、特定の職種や条件下で、実際に労働した時間に関わらず労働時間を一定とみなす制度です。みなし労働時間制を採用している場合、設定されたみなし労働時間を基準にして残業時間が計算されます。このみなし労働時間を超えた労働についてのみ残業手当が発生します。

これらの特殊な労働時間制度を導入している場合、勤怠管理システムや計算方法もこれに対応できるものが必要となります。システムや計算方法が労働基準法に準拠していることを確認し、企業・労働者の双方が理解・同意することが重要です。

勤務時間の管理方法

勤務時間の管理においては、さまざまな方法を利用することが多いです。ここでは、とくによく利用される勤務時間の管理方法について、以下3つのメリット・デメリットを解説します。

  • ・管理表やタイムカード
  • ・エクセルの管理表
  • ・勤怠管理システム

管理表やタイムカードを利用する

労働者が出勤と退勤時に管理表やタイムカードに打刻することで、勤務時間を記録する方法があります。操作が簡単で直感的なため、従業員と管理者の両方にとって使いやすい点が大きなメリットです。とくにタイムカードは簡単な操作で勤務の開始と終了時間を自動的に記録できるため、人為的なミスの削減にもつながります。

ただし、管理表やタイムカードは、特殊な勤務形態などに対応した高度な機能を備えていない場合も多いため注意が必要です。機械の故障やカードの紛失、打刻の忘れといった問題が生じる可能性もあり、定期的なメンテナンスが必要となります。また、特定の場所に置かれた管理表やタイムカードを操作しなければならないため、直行直帰の仕事や外出が多い職種では対応が難しい点もデメリットです。

エクセルで管理表を作成する

Excel(エクセル)を使用した管理表の作成は、柔軟性が高く、特定のニーズに合わせてカスタマイズできることから人気です。Excelを利用する主なメリットは、初期費用がかからず、多くの企業ですでに利用されているソフトウェアであるため、追加のトレーニングが不要である点です。また、Excelの関数機能やマクロ機能を使うことで、勤務時間の計算や集計を自動化でき、人為的なミスを減らしながら効率的に作業を進められます。

しかし、Excelを用いた勤務時間管理にはデメリットもあります。たとえば、大規模なデータの管理が煩雑になる点や、複数人でのデータ共有が困難である点などです。複数人でのデータ共有やリアルタイムの更新が必要な場合は、クラウドベースのスプレッドシートを使用することも一つの解決策となるでしょう。

勤怠管理システムを利用する

勤怠管理システムの利用は、とくに大規模企業や、さまざまな勤務形態を採用している組織に効果的な勤務時間管理方法です。出勤・退勤時刻を含む詳細な勤務データの入力・管理・集計をインターネットを通じて行うことができるため、管理者や従業員はどこからでもアクセス可能で、リアルタイムで勤務状況を確認し、必要に応じて即座に修正や承認ができます。

また、勤務時間の計算・残業の管理などが自動化されるため、手動でのエラーを減らし効率的な運用が可能です。多くの勤怠管理システムでは労働法規や規定に従って勤務時間を管理するため、法令遵守の面でもメリットがあります。また、人事管理システムや給与計算システムと統合できるものも多く、労務全体をシームレスに運用することが可能です。

ただし、導入の際は初期コストや定期的な更新費用を考慮する必要があります。従業員や管理者にシステムの使用方法を習得してもらうためのトレーニングも必要となるため、これらのコストや労力が見合うものかどうか精査しなければなりません。

まとめ

この記事では、勤務時間の定義や具体的な計算手順、計算の際のポイントなどについて解説しました。正確な勤務時間を計算するために、労働時間の定義や、残業時間・特殊な労働時間制度の取り扱いを正確に理解するようにしましょう。

また、正しい勤務時間の計算のためには、管理表・エクセル・勤怠管理システムといったツールから自社に合ったものを選定することも欠かせません。企業の法令遵守・従業員の公正な労働条件の両方を満たすためにも、これらのツールの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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