過重労働や人手不足の問題は日本だけじゃない!世界で求められる「生産性の向上」
働き方改革 / 生産性向上
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過重労働や人手不足の問題は日本だけじゃない!世界で求められる「生産性の向上」
働き方改革関連法が成立し、日本では、これまでのように”時間”ではなく、”成果”を評価する働き方にシフトし始めました。
一方で、世界に目を向けてみるとどうでしょうか?
実は韓国でもこの7月から韓国版「働き方改革」がスタートしています。
過重労働や人手不足の問題は日本だけではありません。
今回はその実態などをご紹介したいと思います。
韓国での働き方改革
この7月から始まった韓国版「働き方改革」。改正勤労基準法という法律で労働時間の上限が残業を含めて週52時間に短縮され、違反すれば事業主が処罰されることになります。日本の残業時間の上限規制は”月”や”年”で判断するのに対し、韓国では”週”で判断するという点が異なります。
尚、これまでは週40時間の法定労働時間プラス残業で最長週68時間まで働くことができましたが、法改正で一気に上限が16時間も減りました。そうなると、これまで週68時間に近い時間労働者を働かせていた企業は大変です。あの手この手で週52時間という上限を守るために知恵を絞っています。
具体的には、定時近くになるとパソコン画面に警告が表示され、定時になるとパソコンの電源が自動的に落ちる仕組みを導入したり、始業開始の15分前にパソコンが起動し、終業15分後には電源が自動的に落ちる仕組みを導入したような企業があります。また、週法定労働時間の40時間を超えると、4時間超過ごとに本人と上司に警告メールを送ったり、月曜日から木曜日までで労働時間が40時間を超えてしまったら、金曜日は休みとする制度を取り入れた企業もあります。
日本でもパソコンの強制終了や一斉消灯などで強制的に労働者を退社させる企業が多くありますが、一方で退社後にカフェや自宅で仕事に励む労働者がいるといった実態もあります。韓国ではそういった問題は生じていないのか、取組みによって実際にどれくらい残業が減ったのか、具体的な問題や成果が気になるところです。またこの動向を追っていきたいと思います。
ところで、超売り手市場の日本とは事情が異なり、韓国では若年失業率が10%を超え、就職難が社会問題となっている背景から、この働き方改革の真の狙いは雇用増にあるとも言われています。確かに、1人当たりの労働時間が大幅に減れば、効率化だけでは吸収しきれず、同じ量の仕事をこなすには企業は採用を増やす必要に迫られることになるでしょう。
一方で、日本より年間労働時間が300時間以上も長い韓国の実態を鑑みると、今回の働き方改革は、この過重労働社会から脱却することも重要なテーマのひとつであるといえるのではないでしょうか
日本だけじゃない!欧米でも課題になっている人手不足問題
韓国では就職難の状況にあることは前述の通りですが、欧米諸国などの先進国での失業率は5.3%と、リーマン・ショック前の2007年を下回り、データのある1980年以降で最も低くなっています。
つまり、就職環境としては売り手市場で、後述の通り、人手不足が深刻な問題となっているのです。
家の塗装は3か月待ち、タイヤ交換は2か月待ち…。ドイツの首都ベルリンでは、高齢化で現役世代が減り、せっかくの景気回復で増える需要をまかなえていないといいます。
また、アメリカでも事情は同様で、特に建設業界では、作業員の不足で72%の業者で納期が遅れ、35%では注文を断っているといいます。また、百貨店でも、最近は顧客よりも従業員の奪い合いが激しさを増しているようです。
日本でも最近、売上が伸びていて黒字経営ができていても、人手不足が原因で倒産してしまうという中小企業の人手不足倒産が問題になっています。このように日本や欧米諸国では人手不足が大きな社会問題となっており、これが企業の持続的成長や存続を妨げているのです。
労働力不足による成長力の低下を防ぎ、経済成長を持続させるためには、労働生産性の向上が欠かせません。新たな機器を導入して省力化を図る、新たな制度を導入して労働時間削減を徹底する、労働者の意識改革の推進を行う。方法はいろいろありますが、他社の模倣ではなく、自社の風土や業種特性に見合った取組みをされること、そしてどんな取組みを行うにしても、労働者の意識がとても大切であることは言うまでもありません。
生産性向上に向けて機器の導入や専門家への依頼を行った場合には、その費用を助成する制度もありますので、これらの活用をご検討されてみてはいかがでしょうか。
◆時間外労働等改善助成金(厚生労働省ホームページより)
日本の労働生産性が先進国の中でも群を抜いて低いことはしばしば取り上げられる話ですが、今後、さらなる労働力人口の減少が懸念される中、どんな規模の企業でも生産性向上に取組むことは避けて通れないことです。
各企業の今後の取組みに期待が高まります。
生産性向上のために、まずは勤務実態の把握を
一言で”生産性向上”といっても、「何からやれば良いの?」と疑問に感じる方もいるかと思います。疑問をもったまま、何も行動をせずに、”働き方改革”が進まないという企業様は、まずは勤務実態の把握をしてみてはいかがでしょうか。
社員の勤務実態が把握できれば、「誰に負荷がかかっているか」、「残業が多いのは誰か」「勤怠に乱れはないか」など、さまざまな分析ができます。
勤務実態の把握を検討している企業様は、ぜひ以下のページをご覧ください。
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