いよいよインターンシップサイトがオープン!インターンシップの最近の動向と留意点をチェック

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いよいよインターンシップサイトがオープン!

インターンシップの最近の動向と留意点をチェック

 

主に2020年卒の新卒学生に向けたインターンシップの広報が開始される時期となりました。

今や新卒採用において重要な意味を持つインターンシップ。インターンシップに参加する学生の割合は年々増えており、今や8割の学生が参加しているといいます。また、参加社数についても、文系学生の1割はなんと10社以上のインターンシップに参加するなど、学生も早期から企業との接点を望み、積極的に動いているのです。

そろそろ夏季インターンシップについての準備を始める時期、ということで今回はこのインターンシップをテーマに取り上げます。

 

インターンシップをめぐる動向

 

学生のインターンシップ参加時期で最も多いのは採用広報解禁直前の2月ですが、次いで多いのが8月となっています。2月のインターンシップが1Dayタイプのものが多い一方で、8月は1週間程度など、比較的日数が長いものも多くなっています。これは、学生の夏季休暇期間にあたることや、大学と連携した単位認定のためのインターンシップがこの時期に多く実施されることが理由だと考えられます。

 

昨年、経団連によるインターンシップのルール変更が発表されました。それまでは、「5日以上」とされていた最低日数の要件が廃止され、1Dayタイプのインターンシップも容認されました。今回のルール変更により、複数日程でのインターンシップを実施してきた企業でも、1Dayタイプのインターンシップを取り入れる企業が増えています。また、インターンシップを気軽に実施できるようになったために、1Dayタイプのインターンシップを開催する企業も急増しています。

 

就職活動に備えて早期から企業と接点を持ちたい学生、そして早期から学生と接点を持つことで企業アピールを行い、採用活動を有利に進めたい企業、双方にとってメリットがあり、それほど準備にも手間取らないことから、プレ会社説明会的な1Dayインターンシップが急増していることは確かに納得ができます。しかし、急増した分学生の集客も熾烈な争いとなり、開催告知をしたものの、ほとんど学生が集まらなかった、という悲痛な声も多く聞かれる状況にあります。

 

また、あるアンケートの結果では、特に上位校を中心とした一定数の学生は、インターンシップの本来の目的である就業体験を通じて、自身の職業適性や将来設計について考える機会を得たいと感じています。

マンパワーの問題で、なかなか複数日程での開催が難しいという実情もあると思いますが、インターンシップは自社の魅力や仕事の面白さ・やりがいを伝える絶好の機会であり、これから迎え入れるであろう学生の特性をじっくり把握する絶好の機会でもあります。特に中小企業では他社との差別化のためにも、複数日程でのインターンシップの開催を検討されてみてはいかがでしょうか。

 

インターンシップのタイプはさまざま

 

みなさまの企業では、どんなタイプのインターンシップを検討されていますか?

1Dayや複数日程のものがあるということは前述しましたが、インターンシップは目的に応じて主に以下4つのタイプに分類することができます。

 

①講義セミナー型

業界動向や企業に関する説明が中心で、若手社員が参加して具体的な仕事や社風について紹介する場合もあります。気軽に開催できる反面、学生の業界や企業への理解が限定的になるというデメリットもあります。いわゆる1Dayタイプのものはこれに該当します。

 

②課題解決型

参加者がいくつかのグループに分かれて課題に取組み、結果を発表するタイプのものです。グループワークを通して他者との関わりなど、学生の人間力を観察することができます。しかし、やはり現場体験ではないため、学生の業界や企業への理解はそれほど深まりません。

 

③業務体験型

会社見学や工場見学、仕事のシミュレーション体験など、職場で社員と同じような業務を体験し、現場を見学するタイプのもので、学生の業界や企業への理解が進みます。見学を誘導する社員や、職場体験に関わる社員が必要となり、それなりのマンパワーが求められます。

 

④実践型

ひとつのプロジェクトに関わって完成させるなど、実際のオフィスで就業体験を行い、営業同行をするなどして、社員と一緒に実務に携わります。こちらもそれなりのマンパワーは求められますが、学生は現場に即して業務を詳しく理解することができます。

 

中小・ベンチャー企業にとってインターンシップはチャンス

 

1Dayではどうしても大手企業やBtoC企業に水をあけられがちな中小やベンチャー企業でも、充実したインターンシップを行うことで、結果的に採用に成功している企業もあります。

 

とあるITベンチャー企業では、時期を問わずにインターンシップの門戸を広げており、そこから毎年複数名の新卒学生を採用しています。

 

数か月間のインターンシップを経験し、ある程度責任のある仕事を任されることにより、その会社の風土や仕事の面白さ、将来性などを感じ取るだけでなく、社会人としての責任の重さについても実体験することができます。

最近では、社会人になりたくない、いわゆる「内定ブルー」が急増しているといいますが、話を聞くだけではなかなか理解できない「会社の一員として働く」という現実を体験することで、このような不安も軽減されるはずです。

 

企業側としても、数か月間ともに働くことにより、その学生の特性が良く見えてきますので、入社後はどんな仕事が適任なのか、どんなリーダーのもとにつけるべきなのか、などが明確になります。中小企業では大手以上にひとりひとりのパフォーマンスが企業の成長のカギを握りますので、ミスマッチのない人材採用のためにもインターンシップの持つ意味は大きいと言えます。

 

他社との差別化やミスマッチのない人材採用。なかなか難しいこれらの課題を中小企業がクリアするためのヒントのひとつは、実は「急がば回れ」の充実したインターンシップにあるのかも知れません。

 

インターンシップの法的な留意点

 

インターンシップはあくまで就業体験ですので、一般的には労働関係の法令は適用になりません。しかし、インターンシップ生が「労働者」にあたる場合には、労働基準法や最低賃金法、実習中の事故に関しては労災保険法の適用があることに留意する必要があります。

 

では、どんな場合が「労働者」に該当するのか?これは実態に即して判断されることになりますが、例えば、インターンシップ生が企業に出社して実際に労働を行い、出社の義務を課したり、遅刻・早退に制裁を課したりしているようであれば、会社の指揮命令下に置かれ、一時的に会社に対して労務を提供する関係にあることから、労働者と判断される可能性が高いと言えます。一方で、賃金を支払うほどの労働の実態がなく、単なる職場見学程度であれば、労働者には該当しないと考えられます。

 

インターンシップのメリットとリスクを勘案して、職場見学にとどめるのか、実践させるのか、など事前に会社としての方針をしっかりと決めておくことが重要です。

 

また、労働者に該当するか否かは別にして、会社がインターンシップ生に対して、安全配慮義務を負っていることは言うまでもありません。学生を長時間拘束して働かせたり、会社内で事故に遭うことのないよう、十分注意して取り組むことが必要です。

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